プロダクトライフサイクル 事例と併せて徹底解説‼

「製品の一生」と言われる”プロダクトライフサイクル”をご存じでしょうか。

商品が市場に普及してから衰退、消失するまでの流れを知っておかなければ、新たに商品を市場に投入する際に売り上げが伸びなかったり、赤字になってしまったりします。

そうならないためにも、プロダクトライフサイクルをしっかりと理解し適切な経営戦略を取れるようにしましょう。

プロダクトライフサイクル(PLC)とは

プロダクトライフサイクルとは、前述したように「製品の一生」のことです。

数年前に大ブームを起こしたタピオカを思い出してください。女子高生を中心に流行りだし、次々とタピオカ専門店がオープンしました。しかし今ではタピオカ専門店を見かける機会が大幅に減ってしまいました。

このように、製品にも、生物と同様に生まれてから生涯を終えるまでのサイクルが存在します。これを“プロダクトライフサイクル”と呼びます。

プロダクトライフサイクルには、導入期成長期成熟期衰退期の4つの段階が存在します。後ほど詳しく説明しますが、それぞれの段階でマーケティング戦略を変える必要があります。どの段階で何をするべきなのかをしっかり見極められるようになりましょう。

プロダクトライフサイクルの段階を知ろう

前述したようにプロダクトライフサイクルには導入期成長期成熟期衰退期があります。

それぞれの段階を詳しくご紹介しましょう。

導入期

企業が新規の製品カテゴリーを市場に投入する時期導入期と言います。

この時期は投入したばかりのため、投入した製品カテゴリーが成功するかどうかはまだ分かりません。しかし、競合となるライバル会社が殆ど存在しないというメリットはあります。

そもそも製品の存在自体を知らなかったり、理解されていなかったりするため、この時期で利益を上げることは難しいです。例え赤字になったとしてもまずは認知度を上げ、製品自体を知ってもらうことが目標です。折込チラシやTVCM、雑誌広告、チラシ配布など、市場規模やターゲット層に合わせたマーケティング戦略を実施するよう心がけましょう。

具体例として、”chocoZAP(チョコザップ)”が挙げられます。チョコザップは、パーソナルジムの「RIZAP(ライザップ)」が監修した、「運動嫌い・苦手な人のためのコンビニ感覚で通える24時間ジム」です。

「コンビニジム」という新しいカテゴリーを作り出し、現在店舗を拡大中ですが知名度はまだまだ低いです。これからさらに認知度を上げていくことで大きく成長する可能性のある段階です。

成長期

徐々に製品の認知度が高まり、商品が市場に広まり出す時期成長期と言います。

商品需要が高まり、市場が拡大します。新たな市場に参入するならこの成長期の前期が最も効率的です。商品の需要が高まり出したため、需要と供給が一致していない場合が多いです。そのため、一致していない段階で供給量を増やすことで利益を得ることができます。

市場が成長すると競合の参入も増えるため、この時期は市場シェアの拡大を目標にマーケティング戦略を行う必要があります。

具体例として、”冷凍食品専門店”が挙げられます。コロナ禍において冷凍食品の需要が拡大し、現在次々と冷凍食品専門店がオープンしています。簡単で日持ちし、美味しいという点で主婦を始めとし一人暮らしやお年寄りなど幅広い層から支持されている分野です。

今後も市場が拡大し競合が増える可能性が高いため、いかに自社が市場シェア率を高められるかが重要になる段階です。

成熟期

需要がピークを達し、市場に類似商品が溢れて市場がこれ以上成長しない時期成熟期と言います。

この時期は製品が市場に行き渡り、競合が多数参入してくるため、価格競争が始まります。デザインや性能も類似のものが出現するため、新規顧客よりもリピーターの存在が自社が生き残る重要な鍵になってきます。そのため、時期の市場参入はオススメできません。

他社との差別化や自社ブランドへのロイヤリティの確立を目標にマーケティング戦略を行っていきましょう。

具体例として、”マッチングアプリ”が挙げられます。急激に需要が増加し、それに伴い多くのマッチングアプリが登場しています。今ではマッチングアプリ市場は需要に比べて供給量が多いため、飽和状態に陥っています。特にマッチングアプリは信頼と実績が重要なため、現在支持されているアプリに勝るサービスを提供することは難しいでしょう。

需要と供給のバランスが今までとは逆転し、競合との力関係が生まれてくる段階です。

衰退期

製品の需要が低下し、売り上げが上がらない時期のことを衰退期と言います。

市場の変化は目まぐるしく、新しい製品が次々と登場していきます。商品需要が減少するため、市場シェアが大きくなければ撤退を考える段階です。ここで撤退のタイミングを間違えてしまうと、大きな赤字を出してしまうため、撤退をするかどうか、どのタイミングでするかを見極める必要があります。もちろん、その製品へのこだわりがある顧客や、愛着を持っている顧客もいるため、必ず撤退をする必要はありません。事業を継続する場合は、利益の確保を目標にマーケティング戦略を行いましょう。

具体例として、"高級食パン"が挙げられます。巣ごもり需要の増加に伴い高級食パン専門店が次々オープンしました。しかし、現在は需要が低下したことにより撤退している店舗も多く存在します。その中でも、市場シェアを占めていた「乃が美」や「銀座に志かわ」はロイヤリティの確立に成功しているため、現在店舗数は減少しているものの、事業は継続するでしょう。

売上が上がらず、撤退するか否かを見極める段階です。

注意事項

プロダクトライフサイクルは、すべての商品に当てはまる訳ではないことを知っておきましょう。

プロダクトライフサイクルが機能するものは流行性の強いものや参入障壁が低いビジネスです。つまり、市場の中の回転が速いビジネスは、プロダクトライフサイクルが機能すると言えるでしょう。

今回紹介したコンビニジム、冷凍食品専門店、マッチングアプリ、高級食パンはどれも参入障壁が低く、流行性が高いため、プロダクトライフサイクルが機能しています。

逆に、生活必需品や独自性の強いものは流行に左右されず、成熟期が長く続く傾向にあります。

例えば、フライパンは機能性やデザイン性は変化しつつあるものの、生活を変える革新的な出来事が起こらなければ、今後もずっと必要とされ続ける商品だと考えられます。また、薬種である「養命酒」は独自性が高く、400年の間成熟期を維持し続け、衰退する気配がありません。

とはいえ、世の中のほとんどの商品がこのプロダクトライフサイクルに乗っ取って生涯を終えます。

自社が参入しようとしている市場は、いまどの段階か見極められる力をつけましょう。

成熟期の新規参入例

新規に参入したい時期が「成熟期」だった場合、参入を諦めるべきなのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。

成熟期に参入して成功した事例をご紹介します。

生命保険会社の「ライフネット生命保険株式会社」です。(以下、ライフネット生命)

ライフネット生命が生命保険市場に参入した時点で市場は成熟しており、市場シェアは日本生命と第一生命の2社が多くを占めていました。そこでライフネット生命は、対面販売を基本とする大手生命保険会社とは対照的にネット通販で生命保険を販売することで、ビジネスに成功したのです。

このように、既存の競合他社とは同じ土俵に乗らずに、独自の生存領域を作り上げることで成功した事例もあります。

成熟期に関わらず、新規参入したい市場はSTP分析を行い、市場の関係性を見ることが重要です。他社と正面衝突をしないターゲットの選定やポジショニングを行うことで自社ブランドの確立目指す方法もあります。

☟STP分析の詳しい説明は以下のコラムを参照してください☟

STP分析を分かりやすく解説!

「STP分析」という分析方法をご存じでしょうか。 商品や企業の方針を決める際に活用してほしいフレームワークであり、やりやすく、分かりやすいため特にマーケティング初…

最後に

マーケティング戦略には正解がありません。

成熟期に新規参入し成功した事例もあれば、成長期に参入して失敗した事例もあります。

しかし、プロダクトライフサイクルを知っているか知らないかでは大きな差が生まれます。

プロダクトライフサイクルを意識し、段階に合わせたマーケティング戦略を取れるよう心がけましょう。

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