オズボーンのチェックリスト~より良いアイデアのために~
新製品開発や新しいマーケティング案がなかなか思いつかず、困っている方はいませんか?
ビジネスの場は流動的であり、常に新しいもので溢れています。そんな波に置いて行かれないようにも、新しいアイデア発想は必要になってきます。
今回のコラムでは”オズボーンのチェックリスト”についてご紹介します。
「ブレインストーミング」を生み出したアレックス・F・オズボーン発祥の発想技法を使い、アイデア発想の切り口を見つけましょう!
オズボーンのチェックリストとは
アイデア出しのテーマを決め、9つの項目に沿ってアイデアを考えていくです。それぞれの項目をチェックしながら考えるため、「チェックリスト法」とも呼ばれています。
このワークは全く新しい製品を生み出すものではなく、既存の製品やサービスを使い、応用したり工夫して新しい視点から見られるようにするワークです。あくまでもアイデア発想の切り口を見つけるためのものということを忘れずにワークを進めましょう。
チェック項目
実際にどのようなチェック項目があるのかを確認してみましょう。
- 転用
同じもの、同じ技術を他に生かすことができないかという視点で考えます。
同じ製品であっても用途を変えてみたり、同じ技術を他に生かして使用したりして新しい使い道を探ります。
(例)富士フイルムの写真ファイルの技術を化粧品の技術に転用
- 応用
他に似たようなものがないかという視点で考えます。
違う業界のアイデアや、過去のアイデアから真似できるものはないか探ります。
(例)雑誌の定期購読を応用した音楽配信サブスクリプション
- 変更
色や音、匂いなど変えられる部分がないかという視点で考えます。
また、広告の仕方や表示の仕方など製品自体だけでなく周囲の状況も含めて変えられる部分を検討します。
(例)白色の綿棒を黒色に変更したことでヒット
- 拡大
大きさや長さ、時間、強さなど大きくできるものはないかという視点で考えます。
他の要素を付け足して付加価値を拡大させるの視点もあります。
(例)テーマパークの入場券を年間パスポートにして来場者数を増やす
- 縮小
拡大と逆に、小さく短くできないかという視点で考えます。
作業工程や構造で無駄な部分を縮小できないかという視点でも考えられます。
(例)一人焼肉や一人カラオケなど、人数の規模を縮小
- 代用
他の材料や工程、場所などを代用できないかという視点で考えます。
変更との違いは、”変える”ではなく”代用”なので同じ能力や成分を基準として変えられるかどうかで検討をします。
(例)肉を豆腐に代用して作られた豆腐ハンバーグ
- 置換
置換は”再配置”とも呼ばれ、要素や配置、順序を入れ替えることはできないかを考えます。
また、原因と結果を入れ替えられないかという視点も考えられます。
(例)外食を家で食べる宅配サービスで飲食する場所を入れ替える
- 逆転
上下、左右、時間、順番などを入れ替えられないかという視点で考えます。
マイナスな面をプラスに変えられないか、裏を表にできないかと逆の発想の持つことで新しい切り口を探します。
(例)昼に行く動物園を夜公開にしたナイトサファリ
- 統合
何かを組み合わせられないかという視点で考えます。
全く違う要素のモノ同士を組み合わせてみたり、作業工程を組み合わせてみたりして新たな価値を見出します。
(例)猫×カフェ=猫カフェ インターネット×漫画喫茶=ネットカフェ
メリット・デメリット
どんな分析にも良さと悪さが生じます。メリットとデメリットを理解したうえでワークをするようにしなければ、「思ったのと違った」なんて結果になりかねません。
良さと注意点を十分に理解して進めましょう。
メリット
- 項目に沿うことで可能性や視野が広がる
- 検討事項の漏れを防げる
- 過去の経験も踏まえて検討することで内容が充実する
9つの基本的な項目があるからこそ、検討できていない項目がなく、あらゆる可能性を視野に入れて考えることができます。
また、過去の事例も踏まえて検討するため、ひとつひとつの項目内容が充実したものになります。”今”だけを見るのではなく、過去や他の業界など多くの視点から物事を見られるようになるのもメリットのひとつです。
デメリット
- 項目に気を取られて他の可能性を見落とす可能性がある
- 事案の性質を理解していなければ余計な項目まで検討し時間がかかる
- チェックしやすい項目ばかり検討してしまい逆に視野が狭くなる
メリットとして「項目に沿うことで見落としが減る」と矛盾している点があるようにも思えますが、ひとつの製品に対する可能性は無限にあります。9つの項目以外にも秘められている可能性を検討せずに分析が終わってしまうのはもったいないです。項目のチェックが終わっても満足せず、他の可能性も検討しましょう。
また、自分が考えやすい項目ばかり考えてしまうことは逆に視野を狭めている可能性があります。このチェックリストは、多方面の視点を持ち、新しい切り口を探すことであるため、やりやすいものばかり注力してしまうとこのワークの意味がなくなってしまいます。少し考えにくいものや、今まで考えたことなかった視点で物事を見るよう心がけましょう。
最後に
オズボーンのチェックリストは必ず9つの項目を埋めなければならないものではありません。事案によっては合わないものや、優先すべきものが変わってきます。
まずは、何をテーマとしてどうしたいかという目的を考えてから始めましょう。新製品を作りたいのか、作業効率を良くしたいのかによって検討を優先する項目は異なります。何を目的とし、どのようなニーズが生まれるかを明確にして取り組むことで余計な時間もかからずスムーズに進められると思います。
また、この他にもアイデア発想のフレームワークはいくつもあります。
自社の目的に合ったワークで新しい発見を探してみましょう!