従業員エンゲージメント向上のポイント紹介

会社を運営していくにあたり、規模が大きくなればなるほど従業員の存在は欠かせません。

従業員が入社後に最大限のパフォーマンスを発揮できるかどうかは、従業員と会社との繋がりが大きな鍵を握ります。

今回のコラムでは、”従業員エンゲージメント”についてご紹介します。

離職率の低下や社内での生産性を高めるためにも、従業員と会社との結びつきを強めていきましょう。

従業員エンゲージメントとは

そもそも、エンゲージメント(engagement)という言葉は、「婚約」「約束」などに訳され、エンゲージリング(婚約指輪)などでも使用されています。

従業員エンゲージメントは、1990年代に米国っで生まれた概念であり、「会社と従業員の間の信頼関係」という意味を持ちます。従業員が会社に対して信頼感や愛着を持ち、自発的に貢献意欲を持ち行動する状態のことを従業員エンゲージメントが高いと言われています。

従業員満足度との関係性

従業員エンゲージメントと似た言葉で、従業員満足度という言葉があります。従業員満足度は、従業員が企業に対して仕事内容や人間関係、福利厚生などにどの程度満足をしているかを表す指標です。あくまでも「満足度」を表す指標であり、自発的に貢献したいと思う意欲や姿勢とは異なります。

従業員満足度が上がることで従業員のモチベーションが上がり、生産性が高まる可能性はありますが、満足度が向上しても職務成果との関係は必ずしも明確ではないと考えられています。

従業員満足度仕事内容・人間関係・福利厚生等に満足しているかどうかの指標
従業員エンゲージメント会社に対して愛着や信頼関係を持ち、自発的に貢献意欲を持って行動するか

例えば、会社の給料に満足し、人間関係も良好な状況であっても、会社に対しての愛着や信頼関係がなければ、会社に貢献しようと考える人は少ないのです。逆に、給料に関しては少し不満足だが、会社が好きで、会社への信頼があれば会社のために貢献し生産性を高めようと考える人もいます。従業員満足度が従業員エンゲージメントに繋がることはありますが、満足度だけが高くても、生産性や職務成果が上がるとは限りません。

自発的に行動をしようとするかどうかが需要なポイントになってきます。

エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントを高めることで、どんなメリットがあるのでしょうか。期待できるメリットをご紹介します。

  • 離職率の低下

従業員が会社に対して愛着を持つことで離職者を減らすことが出来ます。現代の日本では、終身雇用が崩壊しつつあり、転職の時代が来ています。その中で、優秀な人材の流出を防ぐためにも従業員エンゲージメントを高めておく必要があります。

また、従業員が組織の一員であることを認識し、誇りを持って業務に取り組むことで職場の一体感が生まれます。従業員同士で気軽に相談できる関係性や同じ目標を持って行動する団結力があれば、他社への流出を防ぐことが出来、離職率を低下させることが出来ます。

  • パフォーマンスの向上

従業員エンゲージメントが高まれば、従業員一人ひとりが業務に対して熱心に向き合います。自主的に業務を遂行したり、仕事に価値を見出したりすることで仕事のパフォーマンスを向上させるが期待できます。

従業員一人ひとりのパフォーマンスが向上されれば、会社全体の生産性を高めることに繋がります。

  • 顧客満足度の向上

従業員が仕事に熱心に釣り組むことで商品やサービスの質の向上が見込めます。その結果、顧客満足度を向上させ、業績アップにも繋がります。

顧客のことを考えるには、まずは身近な存在である従業員のエンゲージメントを高めることで最終的に会社の利益に繋がるというサイクルが発生します。

エンゲージメントを向上させるポイント

エンゲージメントを高めるメリットが分かったところで、どうエンゲージメントを高めたら良いのかと疑問に思う人も多いのではないでしょうか。

その問いの解答としては、「正解はない」です。従業員は様々な考え方を持つ人間の集まりです。そのため、従業員が何に価値を感じ、どんなことに対して関心があり、どうすれば会社に信頼や愛着を持つかの一概の正解はありません。まずは従業員が自社に対してどのようなイメージを持ち、理想を抱いているかを調査したうえで、現実とのギャップを埋める必要があります。

ここでは、エンゲージメントを向上させるためにできるいくつかのポイントをご紹介します。このポイントを踏まえた上で、自社に足りないもの、理想と現実との差が大きい所に着目して施策を考えてみましょう。

  • 企業理念やビジョンを明確に示す
  • 適切な人事評価
  • 上司からの定期的なフィードバック
  • 社内コミュニケーションの活性化
  • ワークライフバランスを整える

企業理念やビジョンを明確に示す

企業理念やビジョンはとても重要な役割を担っています。その会社がどこへ向かっているのか、何を大切にしているかを明確にすることで、会社の展望に理解、共感し、会社に貢献する人が出てきます。企業理念は社外の人だけでなく、社内の人へのメッセージにもなります。経営陣が目指すべき場所を明確にすることで従業員も行動しやすくなります。

社内報やミーティングなどで、定期的に企業理念やビジョンを提示し、将来設計や展望を周知させましょう。

適切な人事評価

従業員エンゲージメントを高めるために、適切な人事評価は欠かせません。自分の所存が問われる人事評価で不満が溜まると、離職者が増えてしまうこともあります。曖昧な基準で評価をするのではなく、明確な基準を持ち、その基準に沿った評価を行いましょう。

貢献度に応じたボーナスや報酬を与えたり、それぞれの力量に応じた役職を与えることで「能力を評価してくれている」と自信がつき、会社への貢献度も高まります。

上司からの定期的なフィードバック

会社全体からの評価も重要ですが、直属の上司からの個人的な評価も重要です。

定期的に上司とコミュニケーションを取り、フィードバックをもらうことで「もっと褒められたい」「もっと頑張りたい」という自発的な貢献意識が高まります。定期的に上司からのフィードバックを行い、自発的な行動を促しましょう。

また、上司からの伝え方も重要です。同じことを言っていても、伝え方次第ではマイナスな意見に捉えられてしまうこともあります。管理者向けにフィードバックに対する研修を行い、フィードバックの方法を教育することも必要です。

社内コミュニケーションの活性化

社内でのコミュニケーションを活性化することで、結束力が高まり、エンゲージメントが高まります。

従業員同士の仲が深まることで人間関係でのストレス軽減やハラスメント防止に繋がるほか、「この人たちと一緒に働きたい」という愛着心を持つようになります。社内でコミュニケーションが不足すれば、孤独感を感じやすく会社に対しても愛着が薄れてしまいます。コミュニケーションを取れるカフェの設置や、オープンオフィスを取り入れ部署の垣根を超えたコミュニケーションの活性化を図りましょう。

ワークライフバランスを整える

従業員が心身ともに健康でいられるようにも、ワークライフバランスを整えられる制度きちんと作りましょう。

休日日数や有休取得率、残業時間などはもちろん、産休、育休やその後の職場復帰率など、男女ともに家庭と仕事を両立できるような制度を見直してみましょう。

  • 定期的な従業員サーベイの実施

従業員サーベイとは、従業員が会社に対してどんな印象を持っているのかを調査することです。

定期的に従業員サーベイを実施し、従業員が会社に対して何を期待し、何を不満としているのかを把握できるようにしましょう。

特に、従業員エンゲージメントは目に見えて向上しているかどうかが分かりにくいです。PDCAサイクルを半年~1年程で回し、調査を実施しましょう。

向上に成功した事例

具体的に従業員エンゲージメントが向上した事例として、スターバックスコーヒーをご紹介します。

スターバックスコーヒーの魅力のひとつとして、顧客一人ひとりに合わせたきめ細やかな接客が挙げられます。スタッフの人と交わされる会話や、紙コップに書かれたメッセージなど、スタッフとのコミュニケーションを期待して入店する人もいます。では、なぜスタッフ全員がそのような接客をできるのでしょうか。

その理由として、スターバックスコーヒーが従業員エンゲージメントを高めることに成功したからです。アルバイトのことを「パートナー」と呼び、充実した研修制度や、定期的に行われる昇格制度により、スキルアップを目指すことが出来ます。また、誰かの接客や行いを認め、称え合う風潮があります。そのため、自分の行いが会社や周囲から称賛されることで充実感に繋がり、会社への信頼度も高めることが出来ます。

スターバックスコーヒーの店舗は、アルバイトのみで営業している店舗も少なくありません。アルバイトのみでも成立する理由として、従業員エンゲージメントが高く、一人ひとりが誇りを持って仕事に取り組んでいるからだと考えられます。

まとめ

いかがでしたか。

今回は、「従業員エンゲージメント」についてご紹介しました。

会社を創り上げるにおいて、従業員の存在は欠かせません。会社と従業員がどれだけ信頼関係が築き上げられているかが、成果や利益にも繋がります。

ぜひこの機会に、一度従業員との関係性を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

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