企業理念とは~企業理念の重要性を深堀~
企業にとって大切な価値観である企業理念ですが、多くの方がその企業理念の本質を理解していないのではないでしょうか。今回のコラムでは、企業理念とは何か、その役割や存在意義とは何かなどを解説していきます。
目次
企業理念の定義
企業理念とは、創業者が会社の創業に託した想いのことであり、会社の不変の価値観と会社の存在理由・目的からなる。
企業理念とは何?わかりやすく解説 Weblio辞書
「企業理念」とは企業として最も大切にしている考え方や価値観のことです。この企業がどこを目標としているのか、なぜ存在しているのかなどの、企業の使命感やあり方などを言語化したものを「企業理念」と呼びます。
よく「経営理念」と混同してしまいがちですが、経営理念は経営を行う上で経営者が大切にしていることです。どちらも企業にとっての大切な理念や価値観であることには変わりありませんが、企業理念はその名の通り企業の理念であるため、あまり変わりません。しかし、経営理念は経営者の理念であるため経営方針が変わったり、経営者が変わったりすることで経営理念も変化するのが特徴です。企業理念と経営理念は互いに関係付けることができ、企業理念を実現するために経営理念が存在します。
企業理念 | 経営理念 | |
基準になるもの | 企業として意思決定する際の基準 | 事業を進める際の基準 |
変化 | 変化しない 経営者が変わっても引き継がれる | 変化する 経営者が変われば変わることもある |
また、社是・社訓とも混同させがちですが、社是は会社としてあるべき姿(正しい姿)のことであり、社訓は社員が社員がその企業で働くにおいて守るべきものや意識することです。社員が大事にするべき定義を社訓と呼びます。社是と社訓は企業理念の一部と言うことができます。
5つの要素
企業理念は、基本的に5つの要素から成り立っています。
- ミッション(日々果たすべき使命)
- ビジョン(実現したい未来)
- バリュー(約束する価値・強み)
- スピリット(大切にすべき精神)
- スローガン(ブランドの合言葉)
企業理念は企業のHPから閲覧することができます。
すべての企業のHPに企業理念として5つの要素すべてが記載されているでしょうか。実際に見てみると、ミッションやビジョンのみを記載している企業が多くあり、すべてを記載している企業は少ないです。しかし、だからといって2つだけを作成すればいいのではありません。例え記載していなくても、5つの要素を作成し社内に存在していることが重要です。
そして、良い企業理念とはこの5つがしっかりと作成されていることです。どの業界においても、5つの要素を汲み取って理念を作成するよう心がけましょう。
なぜ企業理念が大事なの?
さて、コラムの冒頭から「企業理念は企業にとって大切な価値観だ」と言っていますが、なぜ企業理念が大事なのでしょうか。その理由を解説していきます。
1:企業の軸をはっきりさせるため
1つ目の理由は、企業の軸を作ることで企業を長期的に存続させることができるからです。企業を長期的に存続させるには、市場の動向をよく観察し、市場のニーズや流行りをある程度取り入れることがあります。しかし、流行を追い続けて本来の企業の在り方を忘れてはいませんか。
例えば、花の根や茎が弱ければ立派な花は咲きません。しっかりとした軸があるからこそ、花は綺麗に咲きますし、実が成ります。企業も同じように、企業理念というしっかりとした軸を持つことで花や実といった流行を取り入れても自社の在り方を見失うことなく、長期的に存続でき、長期的な利益に繋がるのです。
なぜこの企業が存在するのか、この企業の在り方は何かという軸をはっきりさせることで企業は長寿化でき、消費者に安定した価値を提供できることにつながります。
2:社員の共通する目指すモノになる
2つ目は、社員の共通する目指すモノになることです。日常生活で、目標を決めることがあるかと思います。年の初めに「今年の目標」を掲げたり、会社で「営業目標」を決めたりするように、人は”目標”に向かって努力をします。企業理念は社員の共通する”目標”です。社員が別々の方向に向かって活動をしていたら、会社はバラバラになってしまいます。皆が同じ方向を向き、活動をすることで会社に一体感が生まれ大きな目標も達成することができます。
また、企業理念がある会社とない会社では一人ひとりの仕事や組織のあり方に大きな違いが生まれます。企業理念がない会社では、現状維持を求めてしまい、やがて企業として成長できず、倒産に陥ってしまいます。企業理念がある会社は社員が常に成長機会を求めているため、組織が柔軟に変化し企業の発展に繋がります。
目指すモノがなければ、人も企業も成長することができず硬直してしまうため、企業理念という目標が必要になります。
3:社内外に企業のファンができる
3つ目は、社内や社外に企業のファンを作ることができます。
面接の志望理由で「御社の企業理念に共感し~」というセリフを聞いたことはないでしょうか。このように、社内外に企業理念をアピールし、その理念に共感したファンが増えることで就職希望者が増えたり、離職率が減ったり、企業のフォロワーが増え、商品やサービスを購入したりといったメリットが多くあります。
企業理念という企業の存在意義があって初めて、企業としての役割や行動が見えてきます。社員が日々の仕事をする中での判断基準にもなるため、企業理念はとても重要な価値観だと言えるでしょう。
企業理念の活用方法
企業理念を作成し、ただ掲げるだけでは何の意味もないただの”コトバ”になってしまいます。せっかく作成した企業理念をどのように活用するべきなのでしょうか。活用方法をご紹介します。
採用に活用する
採用活動とは、今後企業を発展させていく上での”同志”を見つける活動です。そのために、どのような軸を持っているのかが企業理念であり、その企業理念に賛同する求職者を採用することで、自然と同じ方向を向いて活動をすることができます。
また、採用の際に企業理念であるこの企業はどのような価値を提供し、何のために存在しているのかという点を落とし込み、面接やグループディスカッションなどの採用基準に活用することで企業としての軸がぶれない採用活動が行えるはずです。
従業員に活用する
企業理念の重要なポイントは、いかに従業員に理念が浸透しているかです。
企業理念が浸透していなければ、従業員は別々の方向を向き、会社はバラバラになってしまいます。それでは企業理念を作成した意味がありません。従業員全員が同じ方向を向いている企業こそが”いい企業”であり、大きな成長を成し遂げる企業であると言えます。
従業員に理念が浸透させるには、いくつか方法があります。
- 企業理念が生まれた背景などを伝える
- 上の立場の人間が企業理念に沿った行動をする
- 名刺に記載するなど理念に触れる機会を増やす
- 理念に基づき体制を整える
企業理念は、従業員に活用することが最も大切です。従業員に理念を覚えさせるだけでなく、きちんと理解し行動することで浸透していると言えます。理念に基づいた施策を考えることが重要になります。
事例
では、実際の企業ではどのような企業理念を掲げているのかをご紹介します。
味の素株式会社
グループ理念
私たちは地球的な視野にたち、“食”と“健康”そして、“いのち”のために働き、明日のよりよい生活に貢献します
グループビジョン
私たちは、お客様に役立つ独自の価値を創造し続ける「グローバル健康貢献企業グループ」を目指します
株式会社 ファーストリテイリング(ユニクロ)
企業理念
服を変え、常識を変え、世界を変えていく
ミッション
・本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
・独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します
スピリット
・お客様の立場に立脚
・革新と挑戦
・個の尊重、会社と個人の成長
・正しさへのこだわり
参照:THE POWER OF CLOTHING | 服のチカラを、社会のチカラに。 UNIQLO Sustainability
株式会社 日立制作所
企業理念
優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する
バリュー
和・誠・開拓者精神
ビジョン
日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。
優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界をめざします
まとめ
①企業理念とは、社会において企業が担う役割や企業としての在り方を言語化したもの
②企業理念という軸をしっかり作ることで今後の事業内容にブレが生じない
③採用や社員に活用することで一体感のある企業を作ることができる
よく耳にする企業理念ですが、この理念が企業にとってどれだけ重要なものか分かっていただけたでしょうか。
弊社の企業理念は”すべての仕事を面白く”です。これからも関わる全ての人の幸せにつながる仕事をしてまいりたいと思います。