マーケティングの新常識?! パーソナライズとは

生活をする中で情報を得る際、テレビやラジオ、雑誌などのマスマーケティングが主流ではないでしょうか。テレビを見ていて気になった商品、雑誌で好きなモデルが着用している商品など、多くの人を対象に作られたマーケティングが多く存在します。
しかし、近年では情報ツールや媒体が多様化したことにより、今までのように大勢に向けたマーケティングでは顧客の心に響かなくなってきているのが現状です。常に最新の情報と隣り合わせで生活しているため、マスマーケティングでは情報が埋もれてしまうのです。
そこで今回は、現在のマーケティングで注目されている「パーソナライズ」についてご紹介します。
パーソナライズとはなにか、メリットや事例を紹介していくため、是非自社のマーケティング戦略に活かしてみてください。
パーソナライズとは?
”パーソナライズ”とは、顧客一人ひとりに合わせて情報を提供する手法のことです。”(個人としての)人”の意味を持つ「person」から名付けられました。マーケティングでは、顧客の属性、行動、興味等に合わせて最適な情報やサービスを提供します。
かつてはテレビや雑誌等で企業がユーザーに与えたい情報を不特定多数を相手に一方的に提供していました。しかし、インターネットが発達したことでユーザーが自ら情報を取捨選択できるようになり、今までのように不特定多数に向けた情報だけでは、ユーザーの心に残らず、モノが売れないようになってしまいました。パーソナライズによりユーザーのニーズに合った情報を提供することで顧客の目に留まりやすく、購入率が高まることが期待できます。
また、「パーソナライズレコメンド」という手法も主流になりつつあります。通販サイトなどで「おすすめ商品」という表示を見た記憶はありませんか。これは、これまでの購入履歴や検索履歴などから、そのユーザーに合わせて表示される情報です。このレコメンド機能により、顧客自身も気づいていなかった求める商品の購入を促します。

BtoBのパーソナライズ
パーソナライズは、企業がターゲットとする相手によって効果が異なります。これまで紹介してきたのは、皆さんの生活に身近であるBtoC(個人向け)のパーソナライズです。BtoB(企業向け)では、顧客のニーズや検討段階に合わせて必要な情報を収集し先回りに提供することが求められます。
BtoBの商談では、何度も顔を合わせ商談を進めることが出来ます。そのため、マニュアル通りに進めるのではなく、その企業や人に合った進め方をすることで真摯に向き合っていることが伝わり、商談が進みやすくなります。また、競合他社との差別化を図ることもできるため、BtoBにおいてもパーソナライズは重要です。
ペルソナを活用する
実は、このパーソナライズではペルソナを活用することでより有効に活用することが出来ます。
ペルソナとは、架空の顧客人物像であり、実際の顧客やターゲットに合わせて企業が設定します。そのため、ペルソナは架空でありながら実際の顧客と同じ行動や感情を持ちます。ペルソナもパーソナライズと同様に、大衆向けではなく、個人向けのマーケティングで活用されるため、混同されることもありますが、ペルソナは架空の人物設定やそれに伴うマーケティング施策で、パーソナライズは実在する人物それぞれに向けたマーケティング施策です。
パーソナライズを行う場合、どのようなアプローチをするか考える際にペルソナを活用することが出来ます。ペルソナに購入してもらうにはどうするかを考えることで、実際の顧客に購入してもらえるかに繋がります。上手くペルソナを活用してパーソナライズ化を進めてみましょう。
☟ペルソナの詳しい解説はコチラを参照してください☟
パーソナライズのメリット
パーソナライズを行うことで、企業にとってどんなメリットがあるのでしょうか。今回は、期待できる効果として3つのメリットをご紹介します。
潜在的なユーザーにアプローチができる
私たちが普段生活している中で、本当に求めているモノは理解しているでしょうか。実は、大抵の人間はよく理解していないのです。
例えば、穴を開けるドリルを購入しようとしている人はドリル自体を求めているのでしょうか。本当は、ドリルで開けた穴を求めているのです。でも、大抵の人はドリルが欲しいと思ってドリルを検索します。そこでドリルよりも簡単に穴を開けられる機械や、既に開いている板などを提示することで潜在的なユーザーへアプローチをすることが出来ます。
パーソナライズ化することで、顧客自身も気づいていなかった真のニーズの掘り起こしを行うことが可能になります。
先ほど紹介した「パーソナライズレコメンド」がその一例です。顧客の行動を分析し、ニーズに合った商品を提案することで潜在的な顧客へアプローチをすることが出来ます。
ユーザーとの良好な関係が築ける
パーソナライズ行うことで、顧客の満足度が上がり、企業との信頼関係にも関係してきます。
例えば、音楽配信サービスで自動的にプレイリストが作成されていることはありませんか。それは、過去の検索履歴や再生履歴等からユーザー1人ひとりに合わせて作成されているパーソナライズ機能を使ったプレイリストです。それにより、ユーザーは自分で音楽を探す手間を省くことが出来、尚且つ自分の趣味に合った音楽を楽しむことが出来るという点でサービスに対しての満足度が上がり、リリースしている企業に際しての信頼度の向上が期待できます。
また、既存の顧客の定着も考えられます。
美容院でカットをした約3か月後に再度カットをしないかという連絡が来たり、クーポンの配布をしたりすると、自分はお得意様である自覚が芽生え、その美容院へ愛着を持つようになります。このように、「自分だけ」「自分のために」という特別感を実感することでユーザーと企業の間には信頼関係が生まれ、良好な関係が期待できます。
効率的な施策を実行できる
不特定多数に対してマーケティングアプローチを行うよりも、より精密で効率的な施策を実行することが可能になります。
顧客に合わせて情報を変えるため、情報の精度が高まり、顧客が求めている情報を提供することが出来ます。そのため、顧客にとっても知りたい情報が得られ、企業にとっても余計な宣伝をする必要がなくなるため、効率的に施策を進められるようになります。

パーソナライズの注意点
パーソナライズを行う上で、デメリットがいくつか存在します。パーソナライズ化を行う上で考えられる注意点を3点紹介します。
ユーザーが取得できる情報が偏る
企業から情報を提供するため、ユーザーにとっては得られる情報に偏りが生まれてしまいます。
企業にとってはそれぞれに合わせた情報かもしれませんが、捉え方によっては情報を抑制されていると感じるユーザーもいるかもしれません。将来的に企業への信頼が失われる可能性もあるため、提供する情報のバランスが重要になってきます。
本当に求められている情報とは限らない
パーソナライズはユーザーの趣味や行動に合わせて情報を提供されます。しかし、実際に蓋を開けてみると提供された情報が本当に求められているモノとは限りません。また、日々変化するユーザーの趣向に追い付いていない可能性もあります。ユーザーにとっては、いらない情報が定期的に提供されることで煩わしく感じ、企業への印象も下がってしまいます。
ユーザーの趣向は変化するものであることを念頭に置き、常に更新し続ける必要があります。
費用対効果を考える
顧客の情報をより精密に得ようとすると、それだけ費用も掛かります。しかし、あまり費用をかけずに行うとこれまでのマスメディアと変わらない施策になってしまい、思うような結果が得られない可能性があります。
また、パーソナライズはデジタルだけでなく、アナログ施策でも効果を発揮することが出来ますが、アナログ施策はデジタル施策よりもコストがかかります。ダイレクトメッセージの発送料や印刷量、製作費などが必要になります。しかし、アナログの方がパーソナライズ化による顧客満足度が高く、高齢者などのデジタルに疎い世代へのアプローチも可能になります。
このように、どこにパーソナライズを行う時にはコスト管理がとても重要になってきます。費用対効果を考え、どこにコストをかけるのかを明確にして取り組むことをお勧めします。

事例紹介
実際にパーソナライズが活用されている例をご紹介します。
ECサイト
パーソナライズの代表例はAmazonや楽天などのECサイトによる「あなたにおすすめ」というレコメンド機能です。
自分の行動履歴から自動的にレコメンドされるため、顧客のニーズに合わせた商品が紹介され、ついで買いも期待できます。
また、ECサイトだけでなく、Googleなどの検索エンジンでも、同じ単語を検索してもその人に合った結果を優先的に表示されるような機能が備わっています。個々の趣向に合わせた検索結果を表示することで、ユーザーの満足度向上につなげることが出来ます。
キュレーションメディア
キュレーションメディアとは、ユーザーが興味を持っている事柄やテーマに基づき、Web上に掲載されているニュースを選定して表示するプラットホームのことで、GunosyやNewsPicksが代表的な例です。
X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSと連携することができ、それぞれのアカウントで興味のある事柄を中心に表示したり、ユーザーが見たい情報を優先的に配信したりすることで満足度の向上が期待できます。
また、表示されるニュースの範囲を自分でカスタマイズすることで自分に興味があるニュースを優先的に見ることができ、サービスへの評価も高くなります。
メールマガジン
企業からのメールマガジンの中で、自分の名前と、自分に合った商品を提案してくれることがあります。
これは、レコメンド機能と掛け合わせてメールとして直接送ることで特別感を出すことが出来ます。大衆向けにメールマガジンを送る場合が多いですが、メールという個人のやり取りで、よりパーソナルな特別感を出すことで「自分のために」という満足度の向上に繋がり、さらに顧客に合った商品を直接提案することで購買率も上げることが出来ます。
まとめ
いかがでしたか。
今回のコラムでは、”パーソナライズ”についてご紹介しました。
”パーソナライズ”と聞くと聞き馴染みはあまりないかもしれませんが、実は私たちの生活の中で以外にも身近な存在になっています。
ここ近年では、特にパーソナライズ化が進んでいます。多くの情報から自社商品を選んでもらうためにも、是非パーソナライズを進める際の参考にしてみてください。