マーケティングに役立つ!アンケート方法について

顧客のニーズや市場の動向などを知る際に、アンケートを行う機会は少なくありません。では、実際にアンケートを行った際、どのように分析しているかをご存じでしょうか。

アンケートに解析、分析は必要不可欠です。きちんとアンケートを集計したのにも関わらず、分析が曖昧だと調査が台無しになってしまいます。

今回のコラムでは、そんなアンケートの集計・分析方法をご紹介します。

ぜひ自社のマーケティングに活かしてみてください。

アンケートの流れ

アンケートを作成し、まとめるまでの流れを簡単に紹介します。

  • 作成
  • 実施
  • 集計
  • 分析
  • まとめ

アンケートを実施する際は目的を明確にし、なぜアンケートを取るのか、取った後にどうするのかを決めましょう。アンケートの実施はマーケティングにおいての手段です。最終的にどう使うかを明確にし、共有しておくようにしましょう。

実施するにはどのような形でアンケートを取るかを考える必要があります。自分が解答者に聞きたいことは何かを考えてみてください。数値化した情報が欲しいのか、意見が欲しいのかによって作るアンケートは変わってきます。また、解答者が最後まで応えてくれるようなアンケートを作ることも重要になってきます。

アンケートの実施方法

アンケートを実施するには、いくつかの手段が考えられます。

今回は代表的な手段として4つの手段を紹介します。

1.インターネット調査

「アンケートを実施する」と聞いて、一番最初に思い浮かべるのはインターネットを活用した調査ではないでしょうか。

インターネットを活用した調査は、他の手段と比べてコストが低く、収集率が高いです。また、調査対象を定めて実施することも可能です。しかし、インターネットを使用しない人が対象外になってしまう点や、虚偽回答のリスクがある点がデメリットだと考えられます。

2.電話調査

電話調査は、調査員が対象者に直接電話をかけてアンケートを取ります。人員の確保や時間がかかる点から、外注することが多いです。電話対応や顧客から直接会話をしながら感想を聞くことができ、電話がつながればその場ですぐに回答を得られることがメリットです。しかし、外注することでコストがかかり、電話がかかっても返答をもらえない可能性が高いのがデメリットです。また、質問を短時間で明確な回答を得られなければならないため、質問内容を応えやすいものにする必要があります。

3.郵送調査

アンケートの対象者に質問票を送付して郵送で回収する調査方法です。質問量を多くすることが出来、商品サンプルなどを送付したうえで返答をもらうことが出来ます。しかし、郵送を送り返すのが面倒に思われ、回答が上手く得られない可能性があります。

手紙の文化に慣れ親しんでいる高齢者を対象にアンケートを取ったり、サンプル等を送付して感想を得たい場合に最適です。

4.街頭調査

駅前や商業施設などでアンケートの回答を求めている人を見かけたことはありませんか?街中を歩いている人に直接コミュニケーションをとって調査を実施するのが街頭調査です。

その場で使用した感想を得られたり、ユーザーと直接的にコミュニケーションを取ったりすることが出来ます。場所によっては実施に許可が必要になる点や、勧誘のコミュニケーションを煩わしく思われ、悪印象をもたらしてしまう可能性があるため、注意をして実施をしましょう。

集計・分析の目的

アンケートにおいて、集計や分析は必ず行います。しかし、なぜ行う必要があるのかを具体的に言葉にできる人は少ないのではないでしょうか。

ここで一度、集計・分析の目的を整理しておきましょう。

集計の目的

  • 調査結果をデータにする

調査結果が出た段階では、ただ数字が並べられている状態です。その数字を集計し、データ化することで扱いやすくすることを目的とします。

分析の目的

  • データの掘り下げ

集計し、データ化された結果を放置していてはアンケートをとった意味がありません。データを掘り下げ、知りたい事柄に応じて掘り下げることを目的とします。

集計方法

集計方法には、主に3つの種類に分けられます。実施したアンケートの質問項目や収集したいデータに合わせて使い分けるようにしましょう。

  • 単純集計
  • クロス集計
  • 自由記述集計

単純集計(GT表)

単純集計はGT表(Grand Total)とも呼ばれ、回答の数をカウントする一番シンプルな集計方法です。

「はい」「いいえ」など設問に対しての回答内容やそれぞれの解答の人数、割合を表にしてまとめたものです。

結果の全体的な傾向を知ることが出来、短時間で集計できることがメリットですが、逆に詳しい傾向や詳細を知ることはできないため、「とりあえず全体の傾向を見たい」というときにお勧めです。

クロス集計

設問に対しての回答をまとめた単純集計に、回答者の属性(性別・年齢・居住地など)の要素を加えたものをクロス集計と呼びます。

単純集計よりもより細分化された情報を得ることが出来、商品やサービスに関する分析がしやすくなります。

自由記述集計

質問側が選択肢を用意するのではなく、回答者が自由に記入することが出来る方式を自由記述式と言います。自由記述の場合、回答が文章で回答する場合と数字で回答する場合があります。

文章で回答する場合はアフターコーディングとテキストマイニングの2つの手法があります。アフターコーディングは類似した回答をまとめる手法であり、テキストマイニングは頻出する単語や文節をまとめて集計する手法です。

数字で回答する場合は、平均値・中央値・標準偏差・最小値・最大値などをデータ化します。それぞれの値を求めることで偏見や固定概念に捕らわれずフラットな状態で分析につなげることが出来ます。

分析方法

アンケートの分析方法は様々な種類が存在します。

今回のコラムでは代表的な7つの分析方法をご紹介します。自分の目的に応じて分析方法を使い分けてみてください。

  • クラスター分析
  • アソシエーション分析
  • 時系列分析
  • 主成分分析
  • 決定木分析
  • GAP分析
  • PSM分析

クラスター分析

クラスター分析は、回答者の中からいくつかのクラスター(集団)に分け、クラスターごとに分析する方法です。

回答者の年齢や性別、職業などに人間を対象として分けるだけでなく、時には購入した商品や地域、購入時に注意したポイントなどの商品を対象として分ける場合もあります。

回答者に共通する特徴を把握しやすくなるため、ブランドのポジショニングやイメージワードの分類、顧客のターゲット層の確認などに適した分析方法です。

アソシエーション分析

アソシエーション分析は、データ間の関連性を分析する方法です。

例えば、雨が降った際には来客数が減ったり、Aの商品を購入する人はBの商品も購入したりというように、データ間である一定の法則を導きだします。

一見すると無関係に見えることも多いため、分析しておくと顧客への提案データとして有効に使えます。また、実店舗では商品の配置や陳列にも活用できます。

「風が吹けば桶屋が儲かる」のように、巡り巡って関係のない場所との因果関係が見つかることもあるため、有効に活用してみましょう。

時系列分析

時系列分析とは、日数や時間の経過を元に変化を分析する方法です。

短期間での周期で見ることもあれば、長期間のデータを分析する場合もあります。商品の売上予測や売上低迷の時期、周期性などを見ることでマーケティング戦略を立てやすくします。

また、将来的な予測を立てることもできるため、ビジネスプランを立てやすくなるのも特徴です。

主成分分析

主成分分析は、複雑なデータの傾向から、構造をよりシンプルに分かりやすくまとめる方法です。

例えば、ブランドイメージを知りたい場合に、回答は人それぞれです。主成分分析を用いることでデータ全体をシンプルにし、構造を把握しやすくなります。変数が多いアンケート結果でも、傾向や構造を把握しやすくなるのが特徴です。

決定木分析

決定木分析は、アンケート結果の原因を樹形図を用いて整理する方法です。

特定の商品を購入している顧客の属性を絞り込みたい場合などに、樹木状のモデルを使い、視覚的に結果を判断することが出来ます。クロス集計によって項目ごとのある程度の相関関係は確認できますが、さらに決定木分析を活用することで原因と結果のパターンを複合的に確認でき、重要な因果関係の見落としを防ぎます。

GAP分析

GAP分析は、理想と現状の差異を捉え、課題を摘出する分析方法です。

ある商品において、企業と消費者の間で理想と現状が離れている際、そのギャップがどこから生まれ、どう影響しているのかを整理します。自社が行うべき戦略を見誤らないようにするためにも、理想と現状のギャップを理解しておくことは重要です。

PSM分析

PSMとはPrice Sensitivity Measurementの略称で、価格感測定という意味です。商品やサービスの価格設定について、消費者がどう受け取っているのかを調査します。

価格が安すぎれば、消費者は不安を抱き、高すぎれば購入に至りません。消費者にとっての理想の価格設定と企業の提示する価格に大きな差がないかを検証します。

Excelを活用した分析方法

アンケートの分析方法は様々です。GoogleフォームやCross Finder2などの無料システムや、QuestantやFreeasyなど、有料で使用できるものもあります。

今回はその中でも、Excelを活用した分析方法を2つご紹介します。目的に合った分析方法を選択できるようになりましょう。

  • 相関分析

相関分析とは、2つの要素がどの程度同じ動きをするかを明らかにする手法です。

データの特徴を容易に把握できるため、データ分析の基本とされています。

① ファイルタブをクリック
② オプションをクリック
③ Excelのオプションダイアログボックスからアドインをクリック
④ 設定をクリック
⑤ アドインウィンドウの分析ツールをオンにする
⑥ OKボタンをクリック

データタブに分析グループが表示されたら、入力範囲と出力範囲を指定するだけで相関分析が可能になります。データの散らばり度合いが明らかになり、全体の傾向と要素ごとの傾向を把握しやすくなることが相関分析のメリットです。

  • 散布図

相関分析で求めた要素の関係性を可視化できる図の作成方法です。

① 相関関係と満足度の平均を表にする
② 表のセル範囲を選択する
③ 挿入タブをクリック
④ グラフグループの、『散布図(X,Y)またはバブルチャートの挿入』ボタンの下向き三角ボタンをクリック
⑤ 散布図をクリック

散布図は要素を可視化することができるため、一目見て関係性を把握することが出来ます。資料として人に説明する際や多くの人と共有する際に最適です。

集計・分析のポイント

アンケート結果を集計、分析する際に、適切なポイントを抑えることでより有効に進めることが出来ます。

  • 回答の有効性を明確にする

アンケートの集計には、有効回答と無効回答を明確に分ける必要があります。

無効回答も含めて集計してしまうと、分析結果に偏りが出てしまい不正確な結果になる可能性があります。

正確な結果を求めるために、必須項目に答えていない、異常な数値が記入されているなど、無効な回答を明確にし、集計するようにしましょう。

  • 回答者の属性に注意する

アンケートに回答する人の属性を注意することで、偏りのない公正な結果を得ることが出来ます。

例えば、一般消費者からのブランドイメージを知りたいのに、アンケートの回答者がブランドのロイヤルカスタマーだった場合、一般的な消費者とは離れた認識をしている可能性があります。そのため、誰を対象としたアンケートなのかを明確にし、偏りのない分析を進めましょう。

  • 最初に全体の傾向を捉える

アンケートを分析する際、細部を掘り下げて分析することも多いと思います。しかし、分析を始める際には、必ず全体の傾向を捉えてから分析を進めるようにしましょう。

細部にのみ偏って分析を進めてしまうと、分析結果の解釈に偏りが生じてしまう可能性があります。

単純計算で全体の傾向を把握し、その後重点的に確認したい部分をクロス集計表を作成します。さらに知りたい部分、確認したい項目についてを様々な分析方法を活用し掘り下げていきましょう。手順が増える分、知りたいことがすぐには分からずじれったいかもしれませんが、より正確で公正な分析結果を得るためにも、ひとつずつ順番に分析していくことが重要です。

まとめ

いかがでしたか?

今回のコラムでは、「アンケートの調査方法と分析方法」についてご紹介しました。

アンケートを取るという行為はマーケティングにおいて顧客の声を知るうえでとても重要です。しかし、実施の方法や分析が適当になってしまうと、せっかくアンケートを実施したのに上手く活用できないなんてことになってしまいます。

今回紹介した分析方法の他にも、その場の目的に合わせて様々な分析方法が存在します。自社に合った方法で調査・分析ができるよう、参考にしてみてください。

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