SNSマーケティングの”あれこれ”~企業公式SNSの運用ポイントとは~
SNSの普及により、公式SNSを開設している企業も少なくありません。
SNSは媒体によりユーザーや特徴が異なってきたり、誰もが簡単に使用できるためメリットだけでなくデメリットも発生したりします。
今回のコラムでは、SNS運用を成功させるためのコツについてご紹介します。
企業SNS運用とは
企業SNS運用とは企業がSNSを使用して自社の商品やサービスをPRする方法です。
単に商品紹介をするだけでなく、顧客と直接的なやり取りをするなど、広く自社を認知してもらうためのマーケティング戦略です。
総務省が行った「令和2年通信利用動向調査」では、全体の70%以上がSNSを利用しており、特に19歳以下や60歳以上の年齢層の伸びが大きいとされている。SNSと聞くと若者のイメージがあるが、幅広い年代で使用されているためSNSマーケティングが成功すれば認知が上がることは間違いないでしょう。
メリット
なぜSNS運用をする必要があるのでしょうか。メリットとして4点紹介します。
- 認知度が上がる
- "たまたま"発見がある
- コストがかからない
- 顧客とコミュニケーションが取れる
認知度が上がる
SNSで有名になったりバズったり(ある投稿が一気に拡散されること)すると認知度が上がるメリットがあります。SNSには拡散機能がついており、自分が面白い、広めたいと思った投稿を“リツイート”や“シェア”機能で友達やフォロワーに知らせることが出来ます。
また、良いと思った投稿に“いいね”を押しただけで「友達がいいねした投稿」としてタイムラインに流れてくることがあるため、拡散力は大きいと考えられます。
"たまたま"発見がある
前述したようにSNSには拡散機能があるため、興味のない情報を目にすることも多いです。インターネットの検索機能では自分が知りたいと思った情報しか知ることが出来ないため、新たな発見は期待できません。しかし、SNSでは今まで知らなかったけど“たまたま”見つけて興味を持った、“たまたま”見つけて好きになったという“たまたま”が落ちていることが多いです。今までとは違う客層が認知をし、新たな顧客の獲得にもつながることもあります。
コストがかからない
SNSを行うにあたり、初期費用を含め、コストは基本かかりません。ツイッターやインスタグラムなどは無料で誰でもアカウントを作ることができ、個人でも企業でも平等に情報を提供できることが魅力です。また、難しい操作や詳しい知識は必要ないため、SNS運用のため、新たに人件費を割く必要もありません。SNS運用に注力を注ぐ場合は人を雇うこともありますが、短い時間で簡単に投稿ができるため初めは特に新たな人手を増やす必要はありません。
顧客とコミュニケーションが取れる
今までのコミュニケーションと言えばお客様相談室や電話窓口といった、一方的なものでしかなく、コミュニケーションをとるのも“電話をかける”という大きなアクションを起さなければ取れませんでした。しかし、SNSを使うことでもっと気軽にコミュニケーションを取ることができます。
例えば、企業が投稿したことに対して顧客がコメントをし、それに対して返信をしたり、逆に自社の製品に対して投稿をしている顧客に対して直接コメントを送ったりすることができます。また、ライブ配信機能を使えばリアルタイムで顧客とコミュニケーションを取ることができ、顧客からのコメントや疑問にその場で返すことができ、顧客からの信用にもつながります。
デメリット
SNS運用はメリットだけではなく、デメリットも存在します。デメリットについて3点ご紹介します。
- 運用の負担が大きい
- 炎上のリスクがある
- 偽物が現れる可能性がある
運用の負担が大きい
費用の負担は小さいですが、その分精神的、身体的負担が大きいことがあります。
SNSにはたくさんのユーザーが存在し、企業だけでなく個人アカウントからも数多く発信されています。その数ある発信者の中から、自社を見つけてもらうにはそれなりの時間と労力が必要です。定期的な情報発信のための投稿案の作成やコメントへの返信、顧客に対しての“いいね”周りなど自社のアカウントを認知してもらうための小さな活動が必要不可欠です。
また、SNS運用では“バズる”ことが認知度に大きな影響を与えます。より多くのユーザーに見てもらうため、投稿をバズらせることが重要ですが、それにはバズるネタが必要であり、自分たちが面白いと感じた内容でも必ずバズるとは限りません。正解のない投稿案探しに精神的負担が大きいとされます。SNSを運用したからといってすぐに結果が出るわけではないため、途中で運用を諦めてしまう企業も少なくありません。根気強くコツコツと進めましょう。
炎上のリスクがある
「炎上」といってSNSに投稿した内容が不適切なものだった場合、非難や批判が殺到してしまうことがあります。
一度炎上してしまった投稿は、消してもスクリーンショットなどでネット上に残り続け一生拭うことのできない傷になってしまいます。気軽に投稿でき、拡散力が大きいSNSだからこそ、不適切な発言があった場合に一気に拡散され、会社のイメージダウンになってしまいます。
投稿する内容やコメントは、必ず2人以上で確認してから投稿するなど、SNSを運用するにあたり炎上対策は必要不可欠です。
偽物が現れる可能性がある
ある程度企業が大きかったり、SNSでの認知度が上がったりすると、自社のアカウントになりすまして投稿をするなりすましアカウントが出現する可能性があります。
なりすましアカウントは企業のイメージダウンのためにあえて炎上をさせたり、嘘の情報を流したり、顧客に対して詐欺行為を図ったりすることがあり、企業にとっては許しがたい存在です。なりすまし対策としては一定のフォロワーを確保し、SNSの運営会社から公式アカウントのマークを承認してもらうか、定期的にSNS巡回をしなりすましアカウントが存在しないか確認、存在した場合にはフォロワーへの注意喚起をすることが挙げられます。
誰もが簡単にアカウントを作れるからこそ、偽物のアカウントを作ることも容易にできます。きちんと対策を練って対応することが重要です。
各SNSの特徴
一概にSNSと言っても様々な種類のものが存在します。
それぞれに特徴があり、使用するユーザー層も異なるため、きちんと把握をしておく必要があります。
種類 | ユーザー層 |
10代~20代 | |
20~30代 | |
30代~40代のビジネス層 | |
TikTok | 10代~20代前半 |
LINE | 10代~ 全世代 |
それぞれの特徴について詳しく説明していきます。
Instagram (インスタグラム)
10代~20代の若者がメインユーザーであるInstagramは、主に写真を投稿するSNSです。
「インスタ映え」という言葉が流行したように、Instagramは写真を投稿し、ハッシュタグなどを活用して拡散させることができます。
その他にも「ストーリー機能」により24時間で消える簡単な動画投稿機能や「リール機能」というショート動画を投稿する機能、「インスタライブ」というライブ配信機能が備わっており、視覚的にユーザーに訴えることができます。
また、他のSNSに比べてアクティブユーザーが多いため、定期的に投稿ができる、視覚的訴えに自信がある、若者をターゲットにしている企業はお勧めです。
Twitter(ツイッター)
20代~30代をメインユーザーとし、主に140字までの文章で投稿しハッシュタグや「リツイート機能」を使って拡散させることができます。
「リツイート機能」とは誰かが発信した投稿(ツイート)を引用して再投稿することです。Twitterの特徴はこのリツイート機能により、拡散力が大きいことが挙げられます。
また、“映え”が重要なInstagramに対してTwitterは“面白い”や“親近感”が重要になってきます。面白い投稿や、顧客に積極的にコメントをし親近感を持ってもらうことがTwitterで企業アカウントととして成功する秘訣です。Twitterにはトレンド機能も備わっているため、上手く流れに乗れればトレンドに載り、より拡散力が大きくなります。
SNS上でのコミュニケーション力が必要になるため、積極的に投稿ができる、短い文章で伝えたいことを伝えられる能力がある企業にお勧めです。
Facebook(フェイスブック)
FacebookもTwitterと同様、文字で伝えるツールです。Twitterと異なる点はメインユーザーが30代~40代のビジネス層であることです。
匿名で書き込めるTwitterと異なり、原則実名のため、よりかしこまった場と考えるユーザーが多いです。したがって使用方法はビジネスセミナーの告知や企業の窓口に使用するなど、ビジネスシーンで使われる傾向にあります。
“面白い”や”親近感”ではなく“信頼”や“真摯的”というイメージで使用したい企業にお勧めです。
TikTok(ティックトック)
15秒~60秒短い動画を作成、投稿できるショートムービープラットホームです。10代や20代の若者を中心に展開され、近年の流行を作り出しているといっても過言ではありません。
“いいね”や閲覧数が多いとオススメに載り、さらに多くのユーザーに見てもらえるようになり、TikTok内で流行したセリフや音楽がそのまま若者の流行りになるため影響力が大きいと考えられます。
若者が友達同士で楽しい動画を上げているだけだと思われがちですが、ニュース番組が15秒で最近のニュースを伝えたり企業や学校のPRに使用したりと投稿するユーザーの用途は様々です。15秒という短い時間のためYouTubeよりも気軽に閲覧でき、親近感が湧きやすいのが特徴です。若者をターゲットにしている、社内の雰囲気を伝え、ファンを増やしたいという企業にお勧めです。
LINE(ライン)
SNSの中でも国内のユーザーが多く幅広い年代が使用しているのがLINEです。
他のSNSと異なる点は自社のLINEアカウントを追加した人に対して個別でメッセージを送れる点です。他のSNSではフォロワーに対して発信をしても、多くの情報が行きかうタイムライン上に埋まってしまう可能性が高いです。しかし、LINEであれば他のメッセージに埋まることは少なく、より確実に情報を届けることができます。
また、LINEアカウントを追加しているということは自社の熱狂的なファンであることが多いため、ファンマーケティングを活用することができます。ファンに対してアプローチをしたい、確実に情報を届けたいという企業にお勧めです。
⇩ファンマーケティングについては、以下のコラムを参考にしてください⇩
SNSといっても多くの種類の媒体がそんざいするため、自社の目的に合わせて適切な種類のものを選んだり、組み合わせたりしてSNS運用を成功に導きましょう。
成功事例
SNSマーケティングに成功した企業をいくつかご紹介します。
- Tasty japan (Instagram)
アメリカのWebメディアが運営するTasty japanは主に料理動画をアップしています。
カラフルな写真が目を引き、写真や動画を使いインスタ映えする料理を豊富に紹介しているためユーザーが定期的に閲覧しても飽きない工夫がされています。
- シャープ株式会社(Twitter)
Twitterで重要な“親近感”を消費者から得たシャープ株式会社は2022年10月時点で82.5万フォロワー獲得の人気アカウントです。ツイート内容やフォロワーとの積極的なコミュニケーションにより、その親しみやすさから「シャープさん」の愛称で呼ばれるようになりました。友達のような関係を築くことができていることから、SNSマーケティングに成功したと言えるでしょう。
- ドミノ・ピザ(TikTok)
若者をターゲットに展開をするTikTokでは、人気企業公式SNSとしてドミノ・ピザが挙げられます。
短い動画でピザの紹介や、顧客からのコメントの返事動画を出すなど、定期的に顧客とのコミュニケーションを取ることで若者の心を掴んでいます。また、「ハッシュタグチャレンジ」として自社でチャレンジ用のハッシュタグを作り、そのハッシュタグを使いユーザーに挑戦してもらう企画を行い、その気軽さと親近感から若年層の支持が厚いです。比較的にピザは高齢者よりも若者をターゲットにしているため、ターゲットに合ったSNS運用であるでしょう。
- 大丸松坂屋百貨店 (LINE)
松坂屋百貨店はLINEの特徴である個人メッセージの他に、自社のキャラクターである「さくらパンダ」をモチーフにしたLINEスタンプを活用し集客に成功しています。
さくらパンダを、LINEスタンプを使い認知度を上げることでファンを獲得。オリジナルグッズを販売するなどの売り上げに貢献しています。
SNSマーケティングを成功させるコツ
最後に、SNSマーケティングを成功に導くコツについてご紹介します。
①各媒体に合った運用方法を行う
前述したようにTwitterやInstagram、Facebookなどそれぞれのアプリには特徴があります。何個かの媒体を併用するにしても、その特徴に合ったPR方法をしなければなりません。
例えば、FacebookでTwitterのように面白い投稿は求められていませんし、TwitterでInstagramのような視覚から訴えても届きにくいです。各媒体に合った方法でPRをすること。逆に、自社の商品やサービスをどのような形で訴えれば顧客に届くかが重要になってくるため、使用する媒体の見極めは慎重に行いましょう。
②定期的に投稿をする
企業用アカウントは1日に1回以上の投稿が理想とされています。定期的に顧客に情報を与え、企業アカウントを目にする回数を増やすことで自然と意識してもらうことを目的としています。そのためにまずは投稿をし見てもらうことが大切です。また、投稿用コンテンツを切らさないことも重要です。1日1回投稿していてはネタ切れするのも時間の問題です。社内でコンテンツについてアイデアを出し合ったり、常にアイデアをメモしておいたりなどの工夫が必要です。
③炎上対策を怠らない
デメリットでもお話したようにSNSで一番怖いのは炎上です。1度の炎上は会社の一生モノの傷になります。
投稿は2人以上でチェックをすること。「政治」や「テロ」など炎上しそうなことについての話題は投稿しないこと。万が一炎上してしまった際にどのような対応をするかを社内で決めておくなど、炎上対策は必ず行いましょう。
④顧客に寄り添った投稿作りを心掛ける
SNSの一番の魅力は「身近さ」です。これまでは企業と顧客とのコミュニケーションにおいて大きな溝がありました。しかしSNSの普及により誰とでも平等にコミュニケーションを取ることが可能になりました。それなのに企業の投稿が一方的な宣伝ばかりでは企業HPと同じ位置づけになってしまいます。顧客の声を聞き、顧客が求めている情報の提供やコミュニケーションを図り、自社をより身近に感じてもらうことが重要です。独りよがりにならず、顧客に寄り添った形の投稿をするように心がけましょう。
最後に
今回のコラムでは企業公式SNSの運用についてご紹介しました。
公式アカウントといっても親しさを感じられるものから真面目な宣伝まで運用方法は様々です。自社のブランドイメージにあった方法での運用をお勧めします。
どの媒体を使ったらいいか分からない、具体的に自社に合う運用方法が知りたいなど、お困りごとがありましたら是非一度当社にご相談ください!!