商品コンセプトを決める~作成手順や事例紹介~

日常で生活している中で「コンセプト」という言葉を耳にしませんか?
商品にも、「商品コンセプト」というものが存在します。
誰に使ってほしいのか、どう変わってほしいのか、何を提供したいのかによって商品の行く末が変わります。例え同じような商品でも、コンセプトが変わることによってターゲットや販売方法が変わってくるため、商品コンセプトは商品開発における幹の部分になります。
今回のコラムではそんな「商品コンセプト」について紹介します。
どこで花を咲かせるのか、誰に花を摘んでもらうかを考え、花を育てていきましょう。
コンセプトとは
コンセプト(concept)とは、「概念」「観念」という意味の英語からできた言葉で、ビジネスでは「基本となる終始一貫した考え方」という意味になります。
よく”テーマ”という言葉を聞きますが、テーマとは意味が異なります。
例えば、パーティーを開催するとして、「ハロウィンパーティー」「クリスマスパーティー」「バースデーパーティー」などの”ハロウィン” ”クリスマス” ”誕生日” にあたる部分が「テーマ」です。そのパーティーの主題や前提として与えれれているものをテーマとされています。「コンセプト」は、テーマを表すための切り口や骨組みのことです。バースデーパーティーであれば、「主役に感謝を伝える」「主役を感動させる」「主役を楽しませる」など、パーティー自体をどのようなものにするかの道標を「コンセプト」と言います。
▶テーマ 芸術作品で作者が伝えたいこと 前提の提示 主題
▶コンセプト テーマを表すための骨組み 構成
「テーマ」はひとつの企画に対してひとつしか設定することが出来ませんが、「コンセプト」は無限に考えることが出来ます。コンセプトを決めることでテーマの質が上がり、企画や開発の過程でも統一感を持って進めることが出来ます。
コンセプトにより、テーマの行く末も変わるため、慎重かつ丁寧に設定する必要があります。
“商品コンセプト”とは
商品コンセプトは、「どのような商品であるか」「この商品を誰が使うのか」「どのようなシーンで使われ、ベネフィットは何か」を言葉や図で表現したものです。
商品開発に必要不可欠なのはアイデアです。アイデアがなければ商品自体を作ることはできません。しかし、アイデアだけでは商品を作ることもできません。アイデアを具現化し、消費者へ届けるための道筋を立てる必要があります。その道筋のことを商品コンセプトと呼びます。「誰に」「何を」「どのように」して商品を消費者に届けるのか、具体的な方法を紹介します。

商品コンセプトを作ってみよう
商品コンセプトを作る手順として、コンセプトシートを作成する方法や自身でイメージを膨らませていく方法など、様々な作り方があります。今回は簡単なコンセプトシートの作り方と、イメージを膨らませるやり方の2つの方法をご紹介します。
ぜひご自身に合ったやりやすい方法を採用してみてください。
コンセプトシートを作る
コンセプトシートの基本構成として、以下の通りが挙げられます。
1.企画意図
企画に至るまでの経緯や意図の記載
2.ターゲット
どの顧客層をターゲットにするのかを明確に記載
3.訴求内容・手法
ターゲットに対して、どのような内容を提供し、どのような手法で訴求をしていくのかを記載
4.予算
企画実行にかかる予算を記載
5.スケジュール
企画に着手してから、サービスの提供までの予定を記載
コンセプトシートを作成する際のポイントとして、客観的に書くこと。簡潔に書くことが重要です。
作成者の主観が入りすぎると、最も伝えたい事柄やテーマとの相違が生まれてしまいます。資料やデータを参照し、客観的な内容にしましょう。また、簡潔に書くことも重要です。テーマを伝えるための枠組みということを忘れず、余計なものを入れず簡潔に作成しましょう。
イメージを膨らませる
独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているJ-Net21を参考に具体的な手順をご紹介します。
①買われる場面、使われる状況を想像する
②購入者・消費者はどんな人か、人物像をイメージする
③消費者が商品によって得た喜びを考える
④商品の提供方法を具体化する
①買われる場面、使われる状況を想像する
購入者が自社の商品を購入する場面を想像してみましょう。どんな経緯でその商品に興味を持ち、どこで購入をするのか。通販サイトか、店頭か、その中でも路面店か、百貨店、ショッピングセンターの中なのか。それにより受注生産なのか作り置きをしておくべきなのかの判断が出来ます。
また、商品を購入した後、どんな状況に置かれるのかも考えてみましょう。誰かへのプレゼントなのか、自宅で使用するのか、職場で使用するのか、誰とどんな状況で使っているのかを想像してみましょう。
②購入者・消費者はどんな人か、人物像をイメージする
商品を購入する購入者や、商品を実際に使用する消費者の人物像をイメージしてみます。購入者と消費者が同じ人の場合もあれば、違う人の場合もあります。それぞれ、年齢、性別、生活地域、世帯構成、職業などのプロフィールを具体的に考えます。その際に、趣味嗜好や性格などの内面的な要素についても構成してみましょう。
さらに、購入者・消費者のライフステージと商品との結びつきも考えてみましょう。「進学」「結婚」「出産」「受験」「就職」「転職」など、人のライフステージ、ライフイベントと商品がどのように結びついているのかもイメージして考えてみてください。
③消費者が商品によって得た喜びを考える
購入者・消費者が商品を通してどんな喜びを得られたのかを想像してみます。食べ物であれば、「美味しかった」「空腹が満たされた」など直接的な効用が代表的です。その他にも、「贈り物が喜ばれた」「場にふさわしい食事が出来た」などの間接的な効用も有効です。
考えることでその商品で満たすことのできるニーズに気づくことが出来ます。消費者が商品に対してどんな魅力を感じるかを考えることで、商品のベネフィットが明確になります。
④商品の提供方法を具体化する
①から③を考えることにより、「誰に(①)」「いつ(②)」「何を(③)」を明確にすることができます。従って「どのように」にあたる商品の提供方法を定めることが出来ます。
ターゲットや使用シーンが定まることで商品価値にふさわしいパッケージデザインやネーミング、販売価格も定まり、実店舗であれば接客や店内の雰囲気などの細部まで決めることが出来ます。
事例紹介
まとめ
今回は「商品コンセプト」についてご紹介しました。
商品コンセプトはあくまでもテーマを支える骨組みです。テーマから逸脱した企画を行ってしまうと結局何がしたいのか分からない、ということに陥ってしまうことがあるため、決める際には必ずテーマを共通認識として決めておきましょう。
商品コンセプトを決める際に重要なのは、商品そのものではなく、消費者がどこに価値を感じるかです。商品ばかりに目をやるのではなく、一歩引いて消費者の立場になって考えることも重要なポイントです。